NZ永住権の発給減少!移民局審査の長期化・優先順位が示す意味とは

大規模デモが長期化する中、香港では海外移住を決断する人が増えているようです。

(出所  exiteニュース)

ビザ申請に使用される香港の警察記録申請は、昨年より54%も増加

マレーシア、オーストラリア、台湾では、香港から移住に関する問い合わせが急増しているとロイターが伝えています。

(出所 ロイター)

では、ニュージーランドはどうなのでしょうか。

NZ移民局のデータでも香港からの永住権(レジデントビザ)申請が増えているようです。

<香港人の永住権申請数>

月平均29件→44件(2019年8月)

かつてイギリスの植民地だった点で、香港と共通の歴史を持つ民主国家。

政治が安定しており、言論の自由が保証されているニュージーランド。

香港の人たちが『NZに移住したい』と考えるのは当然なことかもしれません。

NZはこれまで多くの移民を受け入れてきましたが、現在のビザ発給数に変化はあるのでしょうか。

実際の状況を確認してみましょう。

増加し続けているワークビザ発給数

ニュージーランドのビジネスや雇用を管轄する官庁『MBIE』によると、

2018年度のワークビザ発給数は『243,195』

2012年(7年前)から右肩上がりで伸びています。

前年度との比較 5.2%増

3年前との比較 15.7%増

これを見るとニュージーランドは外国人の受け入れに積極的なように思えます。

また、学生ビザも過去5年は10万人台をキープしており、発給数は横ばいです。

(出所 MBIE)

永住権の場合は状況が一変する

滞在期限つきのビザ(ワークビザ・学生ビザ)の発給状況はわかりました。

では、この国に住み続けるためのビザ、『永住権』の発給数は増えているのでしょうか。

結論から言うと、

3年前のピーク時から32.6%減

<NZ永住権の発給数>

2016年度51,750
2019年度34,881
減少数ー16,899

永住権の発給数は、過去10年で最低となっています。

労働力としての人は必要、しかし、定住するとなったら話は別

ニュージーランドのビザ発給にはそうした意図が見え隠れしているように思えます。

急増する未処理申請と審査待ちの長い列

永住権は発給が抑えられているようですが、申請が減ったわけではありません。

また審査が進んでいない未処理案件が増えていることも問題となっています。

技能移民部門で申請され未処理となっている件数は『2.3倍』に急増

<未処理のビザ申請件数(技能移民)>

2018年度8,000件
2019年度19,000件
前年対比2.3倍

かつて、NZ移民局で技能移民部門のプロセスを担当し、現在は移民アドバイザーをしているエリン・グッドヒュー氏によると、

『ビザ審査の遅延』とその『透明性の欠如』は驚くべきもの

とRNZニュースが伝えています。

これは一体、どういう意味なのでしょうか。

申請から審査へ移るまでに時間がかかりすぎる

『長年、永住権審査は”早いもの順”で、審査の待ち時間はあれど8ヶ月もの長期になることはなかった』

と、先ほどのグッドヒュー氏。

永住権(技能移民部門)の申請から審査までの流れを、簡単に説明すると以下のようになります。

①必要ポイントを満たしている証明書類をそろえて申請

②ケースオフィサー(個別担当者)がついて書類を審査

グッドヒュー氏によれば、①申請から②ケースオフィサーが決まるまでの期間が、かなり延びているらしいのです。

以下は、ケースオフィサーの割り当てが決まるまでの日数を示した表です。

(出所 Radio NZ)

長い場合で、8ヶ月近くもかかっているのがわかります。

RNZのニュースで取り上げられていたのは、NZで電気製品企業の事業開発マネージャーを務めるクロマティさん(南アフリカ出身)のケース。

彼が永住権を申請したのは今年の5月ですが、今年中に審査結果を得られる見込みはないとのこと。

審査結果を待っているのは本人だけではありません。

彼の申請が却下されれば、勤務先の会社も、

・クロマティさんへの投資が無駄になる

・新たな人材を確保しなければならない

となるので、やきもきしながら結果を待ち続けているのです。

審査遅延の影響は申請者以外にも拡大しています。

移民局は優先順位をつけて審査している

NZ移民局のアシスタントマネージャー、ピーター・エルムズ氏によると、

『審査は原則的に早いもの順、しかし一部の申請は優先している

『高度なスキルと高い需要がある職業に基づいて優先順位をつけている

とのこと。つまり、以前とは違って現在は、

後から永住権を申請しても特定の人は先に審査を受けられるようになった

ということです。

では、優先されているのは具体的にどういう職業なのでしょうか。

看護師、医師、他の医療専門家、教師、電気技師、政府関係者

これらの職業が今のニュージーランドで特に必要とされ、優先的に永住権の審査を受けることができるようです。

さらに、『給与額』も基準に加わっていることが内部メールからわかっています。

しかし、これらの基準は移民局内で決められているもので、詳細は申請者に知らされていません。

グッドヒュー氏が指摘した『透明性の欠如』というのはこのことだったのです。

まとめ

ニュージーランドは毎年多くの移民を受け入れており、多様なバッググラウンドの人々が暮らす国。

ビザの発給数は、外国人の受け入れ度合いを測るバロメーターとなります。

ここ数年の傾向は、ワークビザの発給数は延びている一方、永住権は減少。

このことが意味するのは、

必要なだけの臨時労働者を迎え入れ、定住移民は減らす

という政府の方針です。

以前の永住権は、ポイントを満たすことが取得への鍵でした。しかし今は、

条件をクリアしても長く待たされることが常態化

さらに、

『移民局内』で決められた基準で審査の優先順位がつけられる

審査の長期化や透明性の欠如は、内情をよく知る専門家が、これまでにない事態であると指摘しています。

NZ永住権を取り巻く状況が以前と違ってきているのは間違いありません。

移民投資協会もNZの永住者になる方法に変化が迫っていることを示唆し、ランソン議長は、移民制限の可能性についても言及しています。

NZ永住権はポイントを満たした人なら誰でも取れた時代は終わり、政府の基準で選別される時代に入ったのかもしれません。

今後、永住権申請を計画される場合は、これまでの情報を鵜呑みにせず、常に最新情報をチェックされることをおすすめします。

参考情報:Radio NZニュース記事

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