ニュージーランド・クライストチャーチで発生した銃撃テロ事件について

3ヶ月以上海外に滞在する邦人は、住所または居所を管轄する日本の大使館または総領事館に在留届を提出することが義務付けられています。

滞在期間が3ヶ月未満の場合は外務省海外旅行登録「たびレジ」に登録しておくと、滞在先の最新の海外安全情報や緊急事態発生時の連絡メール、また、いざという時の緊急連絡などが受け取れます。

外務省の注意喚起情報

今回のクライストチャーチでのテロの後、外務省から届いた注意喚起メールの内容は以下の通りです。

3月15日午後1時40分頃(現地時間)、クライストチャーチ市中心部(ハグレー公園隣のディーンズ・アベニュー)と同市東部のリンウッド地区に所在する2カ所のモスクにおいて,何者かが銃を乱射し、多数の死傷者が出ました。

【クライストチャーチ現場周辺地図】

警察は直ちに市内の全学校及び公共施設の閉鎖と住民に対する外出の抑制を呼びかけるとともに、現場周辺を閉鎖して徹底的な捜索を行った結果、同日午後5時30分までに男女計4名の容疑者を拘束しました。

その後も、警察は国内の全てのモスクに対して引き続き閉鎖を指示するとともに、住民に対しても当面の間はこれらモスクへの訪問を避け、警察のウェブサイトやソーシャルメディアをチェックすることを強く勧めていますので、事態が収束するまでは,国内のモスク施設や現場周辺に近づかないでください。

【参考】ニュージーランド国内のイスラム教施設の情報

Islamic Centres in NZ(The Federation of Islamic Associations of NZ)

アーダーン首相は本件をテロ攻撃と表現しており、ニュージーランド当局がまだ捜査中ですが、同国政府はテロの脅威レベルを「low」から「high」に引き上げています(5段階の下から2番目から,4番目に引き上げ)。

以上が外務省の注意喚起情報です。

現地メディアからの報道情報

現地メディアのニュージーランドヘラルド紙が伝えている、テロ事件の現在状況は以下の通りです。

・死者数は現時点(3月17日時点現在)で50名。年齢は2歳〜60歳。

・オーストラリア出身のブレンドン・タラント容疑者が昨日、殺人容疑で裁判所に出廷

タラント容疑者は南島のダニーデンに2年住んでいたが、その間、世界中を旅行して過ごすことが多く、ニュージーランド、オーストラリアの監視対象から外れていた。

・事件直後に逮捕された男女2名の容疑者は、乱射した容疑者との直接的なつながりがないことが判明

・容疑をかけられた女性は釈放され、男性容疑者は銃火器容疑で拘束中。

・怪我をした人は50名で、内36名が入院中。

・国民による犠牲者家族に対する寄付金は430万ドルに達している

銃規制が緩かったニュージーランド

ニュージーランドのアーダーン首相は、「容疑者の動機は反移民感情の可能性がある」と記者会見で示唆しましたが、タラント容疑者はオーストラリア国籍で、住所がNZのダニーデンだったというだけの人物。

間違えて欲しくないのは、誰が考えても『ニュージーランド人』といえる人物が移民を憎んで起こした犯行ではない、ということです。

タラント容疑者は2017年に銃の取得免許を取得し、今回の犯行では、半自動銃2丁、散弾銃2丁、レバーアクション銃1丁を合法的に購入して使用したとのこと。

事件を受けて、アーダーン首相は緩いと言われている銃規制を強化する方針を打ち出しましたが、後手に回っている感は否めません。

オーストラリアでは20年以上も前に銃規制を強化していただけに。。。

乱射事件後に銃規制を強化したオーストラリア

とはいえ、オーストラリアで1996年銃規制を厳格化したきっかけも、やはり銃の乱射事件でした。

タスマニア島の観光地、ポートアーサーで、犯人のマーティン・ブライアントが自動小銃を乱射。

たった90秒間の間に死者20名、重軽傷者は12名に達し、死者はその後35名に増えることになりました。

犯人が銃を発砲する前にカフェで呟いた言葉は、

「白人ばっかりだ。ジャップ(日本人)は少ないな」

という恐ろしい言葉でした。。。

事件後すぐに、オーストラリアのハワード首相(当時)は、自動小銃など攻撃銃の所持・売買を原則禁止にする銃規制法を導入するための合意を取り付けました。

さらに、所持を禁止されている銃の買取や政府への自主的な銃の譲渡を促す政策によって、市民が保有する銃の数を約20%も減らすことに成功したのです。

ニュージーランド市民の銃保有数と今後の対策

ニュージーランドで登録されている銃の数は、約25万丁。

人口が5倍あるオーストラリア(約26万丁)とあまり変わらない数の銃を市民が保有している計算で、世界的に見てもニュージーランドは銃保有率が高い国と言われます。

ただそれは、ハンティングが盛んな国という背景が大きく、銃保有率の高さとNZ国内で発生する殺人事件数とは必ずしもリンクしていません。

また、今回の事件を受け、銃を購入・保有することに対する規制は強まることは確実で、銃による犯罪はさらに発生しにくくなることでしょう。

実際、オーストラリアでも1996年に銃規制が強化される前は年間87名の銃犠牲者がいましたが、2015年には半分以下の30名まで減少。

法律によって銃犯罪の犠牲者を減らせることを証明しています。

まとめ

こんな事件がニュージーランドで発生するとは、国民の誰もが想像し得なかったことです。

初めてこの国を訪れてから20年弱経ち、その間、天災以外でこれほど痛ましい事件はありませんでした。

このニュースを見て短絡的に、「ニュージーランドは危ない国」とは思ってもらいたくはありません。

また、ニュージーランドは、移民に反対する人や、外国人に危害を与えようとする人が多い国、でも決してないのです。

むしろ、現地に住んでいて感じるのは、外国から来た移民に対してフレンドリーなニュージーランド人が圧倒的に多いということ。

それゆえ、善悪の分別がつかない一握りの人間によって国全体のイメージが悪くなってしまうのは非常に残念でならない、、、

誰がどこの国でテロを起こすか、誰もわからない時代。そんな世界で”絶対”安全な国というのは存在しえません。

しかし、その中でも安全と呼べる国は存在し、ニュージーランドはこれからもその中の1つであると僕は信じています。

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