国際競争で勝てる人と永住権があっても生き残れない人の違い

以前、中日ドラゴンズの松坂大輔投手が、アメリカの永住権取得のため、大事なシーズン前のキャンプを一時休んで渡米したというニュースがありました。

人気選手だっただけに大きな話題となったのですが、

「日本でプレーしてるのになんでアメリカの永住権?」

と思った人も少なくないでしょう。

そしてあくる月、サッカー日本代表の吉田麻也選手が、イギリスの永住権を取得しました。

彼らには、なぜ永住権が必要なのでしょうか?

その理由は1つではないはずです。

ただ、共通して言えることは、

彼らの主たる『生活の場』や『収入を生み出す所』が海外だから

ということです。

松坂選手が米国永住権を必要とする理由

松坂大輔投手の奥さんや子供たちはアメリカのボストンに住んでいます。

三人の子供のうち、二人はアメリカ生まれなので米国籍を持っていますが、松坂選手と奥さん、日本で生まれた一番上の子供は日本国籍です。

グリーンカード(永住権)が必要なのは、家族の生活拠点があるアメリカに住み続けるため。

中学生や小学生になった子供たちはアメリカで育っており、教育もそのままアメリカで受けさせたいという考えがあるはずです。

また、日本に帰国するとマスコミの取材が平気で家族におよぶので、それを危惧する著名人も少なくありません。

永住権取得後にアメリカで働く必要はない

「松坂選手がアメリカで永住権をとっても現地で働けるわけがない」と意味不明なことをいうアンチがいます。

松坂選手の生涯獲得年棒は78億円(推定)、そのうち50億円以上をアメリカで稼ぎ出しました。

さらに、知名度が高いアスリートは広告スポンサー契約を結べるのですが、これが大きな収入源になります。

メジャーリーグでプレーしている大谷翔平選手の1年目の年棒は約6千万円ほどです。

しかし、アメリカの大手広告代理店とシーズン前に結んだ契約は

総額約11億円

その後の活躍でさらに約11億円が上積みされ、22億もの収入があります。

現役を続けている松坂選手も当然スポンサー契約は結んでおり、アメリカで活躍していた時は大谷選手のように稼いでいたはずです。

野球をしなくても一生不労所得が入ってくる

大きな資産があると、お金は運用でいくらでも増やすことができます。

例えば、松坂選手が稼いだ ”ほんの一部” の10億円で、元本保証があって3%の利息がつく安全な米国債を買うと、毎年3千万円の不労所得を得られます。

10億円(投資資金)×3%(米国債利回り)=3千万円(年間リターン)

これはバカでもできる投資法。実際の資産運用はプライベートバンカーなどのプロに任せて、毎年億単位の収入を得ていることは想像にかたくありません。

また、メジャーリーグは年金制度が充実していることで知られています。

メジャーで10年以上プレーすると満額の21万ドル(約2300万円/1ドル=110円計算)を受給できるのです。

8年間プレーした松坂選手も62歳になると約1800万円を毎年受け取れる計算になります。

多額の資産所得がある上、老後も死ぬまで年金が入ってくる

日本のプロ野球でプレーしているのは、松坂選手が ”野球がしたいから” やってるのであって、お金を必死に稼いでいるわけではありません。

いつ引退しても、その後まったく働かなかっとしても、一生お金に困る心配はないのです。

イギリスの永住権取得が難しい理由

吉田麻也選手の場合は、松坂選手とは異なり”仕事場”も海外(イギリス)です。

サッカーは連携プレイの連続なので、野球よりもチームメートとの高いコミュニケーション力が求められます。

吉田選手は英語能力に長けていますが、イギリスの永住権を取得するためには一般的な英語能力を証明するだけでは不十分です。

「イギリスで暮らすための教養を身につけているか」を判断するための試験

Life in the UK

を受けなくてはならないからです。

このテストでは、イギリスの政治、宗教、歴史、文化などから24問の問題が出題され、18問(75%)以上正解しなくてはパスできません。

問題内容は一般常識で答えられるレベルのものではなく、ネイティブでも合格できない人も多いほど難しい試験なのです。

海外で活躍する吉田麻也選手が参考にしたJリーグの選手

日本や海外のクラブで様々なプレイヤーを見てきた吉田選手は、サッカー選手として活躍する大事な要素の1つを「適応力」だと答えています。

吉田選手がインタビューで引き合いに出したのは、イングランド代表で活躍し、現在コンサドーレ札幌に所属するジェイ選手で、2015年から日本のJリーグでプレーしています。

プロサッカー選手の選手寿命は20代半ばと言われ、30代で選手を続けられる人は、ほんの一握りしかいません。

外国出身選手の場合は国内の選手より期待値が高いため、活躍ができなければ年齢に関係なくすぐに解雇されるのが当たり前です。

36歳になり日本で5年目の契約を得ているジェイ選手を、日本の文化やサッカーに適応して、自分の強みを出し続けていると吉田選手は分析しています。

吉田麻也選手にとっての永住権の価値

世界最高峰のイギリスプレミアリーグでプレーすることは、サッカー選手としては一流の証で、自分の商品価値を高めることができます。

吉田選手も今年で31才。

次々に優秀な選手が台頭する中で、”高齢”プレイヤーが契約を勝ち取るのは大変なことです。

しかし、永住権を取得したことでイギリス国内のクラブに移籍するときにはビザに縛られることはなくなり、他の外国人選手よりは有利な立場になりました。

また、引退後にイギリスで指導者の道へ進む場合など、セカンドキャリアにも幅を持たせることができます。

厳しい海外プロサッカーの世界で生き延びるためには、まずその国に適応することが必要で、その延長線上にある永住権取得は吉田選手にとって大切なことだったのです。

実力がある人ほど海外で活躍できる

松坂選手と吉田選手、人気スポーツの頂点に立っているアスリートが相次いで海外の永住権を取得したことで、彼らが引退後、日本に帰ってこないことを危惧しているファンもいます。

確かに選手生活を終えた後は、松坂選手や吉田選手が海外に留まる可能性はあるでしょう。

疑問なのは、なぜそんな多くの人が

「日本っ!日本っ!」

と騒ぐのか、ということ。

実力のある人は、自分の働く場所や居場所を決めるときに、日本にこだわる必要は全くありません。

サッカーの元日本代表、本田圭佑選手は、以前テレビ番組で自分の住所を聞かれたときに、

「世界」

と答えていました。

サッカー選手としてのキャリアを日本で始め、その後オランダ、ロシア、イタリア、メキシコ、オーストラリアでプレー。

選手以外では、日本でサッカースクール経営、カンボジアで監督業、アメリカでは投資家として活躍してます。

国内組にも待ち受ける外国人とのポジション争い

外国人とポジションをかけて争うのはプロスポーツの世界だけではありません。

日本の中核労働力となる生産年齢人口は、約20年前から650万人も減っています。

同じ先進国のアメリカやイギリスでは生産年齢人口は増えており、減っているドイツでも減少幅は日本ほど大きくありません。

(出典:内閣府 平成30年 外国人労働力について)

労働力が減る一方で求人倍率は右上がりとなり、人手不足に陥る業種や企業が増えいます。

(出典:内閣府 平成30年 外国人労働力について)

その穴を埋めるように、外国人労働者数が急速に増加し、その数は10年前の2.6倍になりました。

(出典:内閣府 平成30年 外国人労働力について)

以前、日本で僕が勤めていた会社では、日本語を流暢に操る中国人社員と台湾人社員がいて、彼らは仕事に対しても日本人社員以上に一生懸命取り組んでいました。

彼らの一人が、

「外国人というハンデがある分、日本人と同じように仕事をしていたら会社から必要とされなくなる」

と言っていたのを思い出します。

労働力不足を補うため、外国人労働者の受入れは今後も続くことは確実で、優秀な外国人労働者が増えるほど、日本人社員のポジションは奪われていきます。

プロスポーツではない一般社会で、しかも海外でなく国内でも国際的な競争が始まっていて、実力がない者はいずれ仕事がなくなるのです。

まとめ

ニュージーランドの永住権を持っていも満足な収入を得られずに、帰国を選択する人は少なくありません。

僕もかつてその経験をして、

永住権はその国の生存競争に参加するための”入場券”にすぎない

ということを思い知らされました。

そして、日本に帰っても良い仕事が見つからず、彷徨い人のような期間も体験しました。

結局、日本でも海外でも生き延びるために必要な能力は同じです。

異質な環境を受入れる適応力と、そこで求められる仕事ができること、この2つがないと、まともに稼ぐことはできません。

日本人が海外で最高の仕事をする方法 ― スキルよりも大切なもの(糸木公廣著)

人を信じられる人が、いちばん強いのです。
20年、9カ国の海外赴任。先進国も途上国も、新ビジネスも工場閉鎖も、現場も社長も経験した著者が七転八倒のストーリーで語る、多様な世界=これからの時代を生き抜くための「心の使い方」。

「もう日本に帰ってくれ」。初の海外赴任で現地のビジネスパートナーから
言われた一言が、自分の目を開かせてくれた――。
ソニーの社員として20年、9カ国を渡り歩き、徹底して「人」を見つめ、異なる環境で、異なるバックグラウンドの人たちと共に成果をあげてきた著者。
インドでは映画に熱中して新商品、ルーマニアでは料理を起点に人脈づくり、ベトナムでは伝統文化を活かした広告で売上激増、リストラさえも社員皆が笑顔でやり遂げ、韓国では社員の意欲に火をつけ記録的業績……
愚直に「人」に向き合えば、結果は後からついてきた。
圧倒的に豊富な経験から得られた学びの数々を、ストーリーでわかりやすく語る。
海外赴任・海外経営の関係者はもちろん、ますます多様化・グローバル化する世界を生きるビジネスマンの「確かな指針」となる一冊。

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