【国境回復・ワクチン・リストラ】ニュースから読み解くNZの今とこれから

NZが国境を回復できるのはいつ頃?

先日(9月10日)、ニュージーランド航空について報じられた、あるニュースが目にとまりました。

(New Zealand Herald/2020年9月10日)

今年5月、ニュージーランド航空は長距離路線で使用されていたボーイング777-300(7機)を2020年末まで地上保管することを決めていました。

そして今回、ボーイング777-200(8機)についても長期保管の準備に入ったようです。

飛行する可能性が低いとして定められた保管期限は、

『2021年9月まで』

必要になれば6週〜8週で運行できる状態に戻せるそうですが、保管機を再稼働させるには世界的なコロナの収束が条件となるでしょう。

現時点で収束時期は見えておらず、ニュージーランド航空は約1年後まで長距離路線の復活はないと判断した模様です。

個人的に気になるのは成田路線ですが、

日本との国境回復時期は『1年以上先』

そうなることを想定しておくべきなのかもしれません。

ワクチン接種できるのはいつ頃?

では、コロナの収束に不可欠と言われるワクチン開発はどうなっているのでしょうか。

今週、ワクチン開発をリードしているアストラゼネカ社(英国)が安全性を検証するため、大規模臨床試験の中断を発表しました。

ワクチンの完成は『時間の問題』のようにメディアが報じていたこともあり、試験中断のニュースも世界中で大きく取り上げられました。

(ブルームバーグ/2020年9月10日)

しかし、ワクチンの開発が一筋縄ではいかないことは周知の事実で、特にその最終段階である第3相臨床試験をクリアするのは非常に難しいと言われます。

日本の製薬会社で言えば、過去にこの段階を成功させたのは1社しかありません。

数年かけても開発できないことが多いワクチン。

それを1年未満で完成させるのは文字通り無理難題であり、安全性も疑われやすくなるため慎重な検証も必要です。

つまり、ワクチンがスケジュール通りに完成すると期待するのは『楽観的すぎ』と言えるでしょう。

ニュージーランドのワクチンプログラムの責任者であるグラハム・ルグロス教授によると、

ワクチン接種ができるようになるためには2年かかるかもしれない

という見解を述べています。

(INSIDER/2020年8月27日)

低賃金の業界で行われる容赦ないリストラ

コロナの問題が長引くことで懸念される経済への影響。

特にサービス業へのダメージは大きく、そのしわ寄せは雇用に深く及んでいます。

例えば、グループ全体で1万2千名の従業員を抱える小売大手のウエアハウス。

人員の整理や労働時間の削減などを盛り込んだリストラ策を9月17日に発表する予定です。

ウエアハウス側はオンラインショッピングの利用増など、消費者行動の変化をリストラの理由に挙げています。

しかし、外出制限や入店制限などが業績に影響しているのは容易に想像でき、従業員は損失穴埋めの犠牲になっているようにも思えます。

(One News/2020年8月23日)

小売業の労働賃金はただでさえ他業種より低いのが特徴です。

業種時給(中央値)
建設$27.00
医療・福祉$26.00
製造$26.00
運輸・倉庫$24.98
芸術・レジャー・その他サービス$23.97
小売・宿泊$19.50

(Stats NZデータ)

また、小売業は低賃金のパートタイム従業員を多く抱えている業種でもあります。

雇用種別賃金(中央値)
フルタイム$26.97
パートタイム$20.00

(Stats NZデータ)

ただでさえ経済的余裕があまりない小売業の従事者が職を失ったり、収入が減ってしまう。

このことで懸念されるのが経済格差の広がりです。

高額所得者への増税は格差是正につながらない

ニュージーランドの経済格差はコロナが発生する前から問題となっていました。

トップ1%の富裕層が持つ純資産の中央値は620万ドル(約4.34億円/2018年)。

国全体の中央値である9.2万ドル(約644万円)と比較すると圧倒的な差です。

政府与党は再選後の公約として、年収18万ドル(約1260万円)以上の高額所得者を対象とした新たな所得税率(39%)の設定を掲げています。

この政策によって経済格差はいくぶんでも是正されていくのでしょうか。

(RNZ News/2020年9月9日)

税の増収は見込めるでしょうが、経済格差は是正されないだろう、というのが大方の見方です。

その理由は富裕層が資産を増やす手段として、多くの場合、労働収入に頼っていないからです。

資産格差を拡大させる低金利政策

富裕層が持つ資産は現金よりも、不動産や株式などが多くを占めます。

NZの不動産価格は歴史的に右肩上がりで、2000年代半ばに17万ドル(約1200万円)あまりだった住宅価格の全国中央値は、

現在66万ドル(約4600万円)

コロナ禍の中にあっても住宅価格は過去最高を更新しています。

(interest.co.nz/2020年9月11日)

富裕層が持つ不動産はおおむね価値が高く、価格上昇による恩恵は受けやすいと言えます。

しかしなぜ今、不動産価格が上がり始めているのでしょうか。

きっかけは大幅に引き下げられた金利です。

低金利政策によって住宅ローン利率が下げられ、住宅購入希望者が増える結果につながっています。

NZの住宅市場は全国的に供給不足の状態ですので、需要が増えれば住宅価格が上がるのは自然の流れです。

株式相場についてはコロナショック(暴落)にみまわれましたが、その後、急速に回復。

現在は最高値付近で調整局面を迎えているものの、その後は上昇すると期待されています。

しかし、経済はコロナの影響から立ち直っておらず、高い失業率もまだ回復途上です。

なのになぜ株価だけが上がるのでしょうか。

(Wall Street Journal/2020年9月3日)

株式相場と実体経済が全く異なる動きをすることは、とりわけ珍しくありません。

低金利によって株価が上がりやすくなるのは常識で、低金利が約束されている間、投資家は積極的にリスクをとります。

つまり、不動産や株式などの資産を買うには今は良いタイミングと言え、余剰資金を多く持つ富裕層ほど資産購入に力を入れるわけです。

コロナが収束するまでに、富裕層とその他大勢の資産格差はさらに開くことは容易に想像でき、その後押しをしているのは、

皮肉にも経済格差を是正したいはずの政府(の低金利政策)

と言えるのです。

(Stuff/2020年9月6日)

まとめ

半国営のNZ航空が長距離路線用の旅客機を2021年の9月まで地上保管するというニュースから、国境回復がまだ遠い先の話であることを思い知らされました。

頼みのワクチンも完成がまだ見通せない状況であり、経済へ与える影響が懸念されます。

特に多くの人を雇用し、賃金が低い業界(小売業など)へのしわ寄せが大きく、容赦ないリストラが行われている状況です。

一方、与党は高額所得者を対象とした新たな税率設定を公約として掲げていますが、それによって経済格差が是正される可能性は低く、その理由となるのが、

資産保有と低金利政策

経済不況を支えるための低金利政策は、不動産価格や株価を押し上げます。

資産を持たない人々はその恩恵を受けることができない一方、不動産や株式などを多く持つ富裕層はさらに裕福になっていきます。

経済格差は縮小するどころか拡大して二極化していく

このことはすでにピケティの『21世紀の資本』で証明されており、それがコロナによって、より顕在化していると言えます。

この状況に個人は一体どう対処すれば良いのでしょうか。

コロナの収束を願って待つだけでは、生活が成り立たなくなったり、将来的な展望が持てなくなってしまいかねません。

不適切な表現かもしれませんが、個人的には今の状況を利用するべきだと考えています。

その利用法(株式投資・不動産投資について)は過去記事で何度も書いていますので、そちらを参考にしていただけたらと思います。

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