ヴィーガンが世界的トレンド!酪農国家NZはオワコン化してしまうのか

最近、ヴィーガンってよく聞きませんか?

数年前から始まったヴィーガンブームが世界的に広がっているようです。

『ヴィーガンって、ベジタリアンみたいな事だっけ?』

ヴィーガンとベジタリアンは、肉や魚を食べないという点では同じです。

異なるのはヴィーガンが、

卵・乳製品・ハチミツなど動物由来の食品も一切食べないこと

このトレンドを象徴している事の1つが、ビヨンド・ミート(米国)の成功です。

著名人・大企業も注目するヴィーガン

ビヨンドミートは、ビル・ゲイツやレオナルド・デカプリオなど著名人も出資している、

『植物由来』のバーガーやソーセージを製造する企業

今年(2019年)5月には米国ナスダックにも上場しました。

公開株価が25ドルに対し、初日の終値は65ドル(2.6倍)がついてIPOは大成功

その後、株価はさらに上がって、今日現在は160ドルで取引されています。

(出所 Google Finance)

株価が爆上げしたことで、ビル・ゲイツ氏ら出資者たちは想像できないほどの利益を得たはずです。

『でも、植物由来のお肉ってそんなに売れてるの?』

ビヨンドミートの製品は『KFC』『カールスジュニア』などアメリカの大手ハンバーガーチェーンでも使用されており、取扱店は着実に増えています。

(出所 ニュージーランドヘラルド)

アメリカ以外でもカナダ・イギリス・イタリア・イスラエルなどのスーパーやレストランなどに販路を拡大しており、この勢いはまだ続きそうです。

酪農・畜産が主要産業のニュージーランド

ヴィーガンが一大ブームになって世界的に乳製品や牛肉の消費量が落ちたら、ちょっと不安になる国がありますね。

そう、ニュージーランドです。

NZの大黒柱は世界4位の乳業メーカー『フォンテラ 』

ニュージーランド最大の企業といえば、フォンテラ社。

日本ではあまり知名度はありませんが、

売上高で世界4位(2018年)の乳業メーカー

順位メーカー名売上高
1位ネスレ(スイス)2.98兆円
2位ラクタリス(フランス)2.55兆円
3位ダノン(フランス)2.21兆円
4位フォンテラ(NZ)1.75兆円
5位フリースランドカンピーナ(オランダ)1.69兆円
6位デイリーファーマーズ(米国)1.67兆円
7位アーラフーズ(デンマーク)1.52兆円
8位イリ(中国)1.37兆円
15位明治(日本)0.73兆円

(参考 ラボバンク乳業メーカーランキング)

フォンテラという名前は知らなくても主力ブランド『Anchor』の商品は知っているという人はいると思います。

この会社がニュージーランド経済を支える大黒柱と言われるには以下のような理由があります。

・国内1万軒以上の農家が所有

・国内外合わせると従業員数は約2万2千人

・NZ輸出額の2割以上を占める乳製品を製造

ヴィーガンは『アンチ乳製品』も意味します。

このトレンドが世界に拡大するのは、フォンテラだけではなくニュージーランド経済にとってもあまり好ましい事とは言えないでしょう。

『羊毛』から『乳製品・牛肉』にシフトするNZ農家

ニュージーランドと聞くと『羊』のイメージが頭に浮かぶ人は多いと思います。

そもそも羊を飼育する目的とは何でしょうか?

『ラム肉?』

本来、ラム肉は繁殖に使わない仔羊を食用にするもので、どちらかといえば『二次的な産物』

主な目的はやはり『羊毛』のはずでした。

ところが、羊毛はナイロンなど加工しやすい合成繊維に押され、輸出額はこの30年余りで1/3以下まで低下してしまいます。

<羊毛の輸出量>

輸出額
1989年18億ドル
2018年5.4億ドル

当然、羊の数も2006年との比較で、大幅に減っています。

<ニュージーランドで飼育されている羊の数>

2006年2018年減少数
4000万頭2730万頭ー1270万頭

羊の数が減った分、逆に増えている家畜が牛で、約1000万頭がニュージーランドで飼育されています。

『増えたって言っても羊よりは少ないんだ』

頭数ではそうですが、そもそも羊と牛は『体の大きさ』がかなり違うので単純比較はできません。

『餌の量』で比較すると牛1頭は羊7頭分に匹敵し、それを加味して家畜の割合を示したのが下のグラフです。

(データ元 Stats NZ)

過去30年ほどで、農家が飼育する家畜を羊から乳牛へ切り替えているのがわかります。

前述の通り、フォンテラの乳製品はニュージーランドの主要輸出品となっており、2018年度の輸出額は141億ドル

羊毛の輸出額(5.4億ドル)とは桁が2つも違います。

羊毛は、毛刈りや輸送など手間やコストがかかる割に、国際価格が伸び悩んでいて利益が出しづらくなっているのです。

農家もビジネスですので、儲けやすい家畜にシフトするのは当然なのかもしれません。

NZに移住したジェームズ・キャメロン監督はヴィーガン

『ターミネーター』『タイタニック』『アバター』などの大ヒット作品を生み出した映画監督、ジェームズ・キャメロン氏。

カナダ出身のキャメロン監督は現在、ニュージーランドに移住し、北島のワイラパパを拠点に活動しています。

キャメロン監督はヴィーガンとしても有名で、

植物由来の食品と同じだけタンパク質を家畜の肉から取るのには10倍から40倍の広さの土地が必要となる。

20〜30年以内に『食肉のない』または『食肉が少ない』世界へ移行する必要がある。

このように訴えて、NZ出身のピーター・ジャクソン監督とともに植物由来の食品ビジネスを開始することを発表しました。

(出所 ニュージーランドヘラルド紙 2019年5月9日)

乳業や畜産が主要産業に数えられる国で、こうした主張をすれば当然、農家から反発を受けます。

しかし、ヴィーガンを公表している著名人はキャメロン監督以外にもたくさんおり、その影響力は決して小さくありません。

<ヴィーガンを公表している著名人(一部)>

ビヨンセ歌手
ビル・クリントン元アメリカ大統領
ナタリー・ポートマン女優
マドンナ歌手
アリアナ・グランデ歌手
ヴィーナス&セリーナ・ウイリアムズテニスプレーヤー
ミシェル・ファイファー女優
メーガン妃英国王室
ジェニファー・ロペス女優
ブライアン・アダムス歌手
アン・ハサウェイ女優
ブラッド・ピット俳優
アレック・ボールドウィン俳優
デミ・ムーア女優
スティービー・ワンダー歌手

ニュージーランドの未来に影響を及ぼしかねないヴィーガンのムーブメント。

ビヨンド・ミートの株価が高値で取引されているのとは対照的にフォンテラの株価は低迷し、7年前の半値以下となっています。

(出所 Google Finance)

フォンテラを所有するニュージーランドの農家さんたちの心は穏やかではないでしょう。

まとめ

ニュージーランドの乳牛や肉牛は、ほとんどが牧草で育てられることで『グラスフェッド』と呼ばれます。

人工飼料で飼育された牛と比較して、よりヘルシーということが科学的にも証明され、『NZブランド』として定着しつつあります。

一方、世界的ブームとなった完全菜食主義のヴィーガン。

NZの酪農・畜産家にとっては『目の上のタンコブ』のように感じているかもしれません。

日本の畜産産業振興機構によると、乳製品の世界需要は新興国を中心に今後も拡大していくことが予想され、高品質なNZの乳製品は高い人気を得るでしょう。

また、食肉にしても世界の消費量は2027年までに15%増加すると国連食料農業機関が報告している通り、短期的な需要減退を心配する必要はさほどありません。

ただ、

・環境負荷が低いこと

・持続可能であること

・健康をもたらすこと

これらが今、成功するビジネスの条件となっていることは確かで、逆のことをすると国や社会から叩かれてしまいます。

わかりやすいのはタバコ産業で、タバコ関連の株は世界中で下がりまくっているのは知っての通り。

ですので、環境負荷の高いこれまでの酪農や畜産業が、これからも安泰とは言い切れません。

フォンテラはこの国になくてはならない会社です。

しかし、投資をするかと聞かれたら、

『???』

となります。

『乳製品や畜産に頼れなくなる未来がいずれNZにくるかもしれない』

ヴィーガン人気の高まりを見て、大げさかもしれませんが、そんなことをイメージしました。

菜食への疑問に答える13章: 生き方が変わる、生き方を変える

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