逆風吹く旅行業!NZ優良株オークランド国際空港は今買うべきか

当ブログのお問い合わせフォームから頂いたご質問やご意見の内、多かったのは、

ニュージーランドの株式投資について

NZ株に興味を持っている人は思った以上にいるんだな。

そんな印象を受けました。

また、気になったのが個別株についての質問です。

新型コロナが引き起こした株安の中で、最も大きな影響を受けたのが旅行関連の業界でした。

身近に感じる企業の株価が大きく値下がりしたことで、

割安になった今が投資のチャンスかも

そう考えた人も少なくないと思います。

たしかにNZ株インデックス(S&P NZX50)と比べると、旅行銘柄の株価は大きな下落幅を記録しました。

業種企業名今年最高値今年最安値下落率
航空ニュージーランド航空$3.05$0.80-73.7%
空港オークランド国際空港$9.21$4.59-50.1%
宿泊ミレニアムコプソーンホテルズ$2.80$1.77-36.7%
レンタカーツーリズムホールディングス$3.45$0.55-84.0%
インデックスS&P NZX5012,0858,495-29.7%

現在の株価は3月の底値からだいぶ上がっていますが、それでも今年の最高値から見れば安く感じられる水準です。

では、これらの株は『買い』のタイミングなのでしょうか。

今回いただいたご質問の中で多く名前が挙がっていた『オークランド国際空港』で考えてみたいと思います。

オークランド国際空港(AIA)の魅力

ニュージーランドにある代表的な国際空港といえば、以下の2つ。

【北島】オークランド空港

【南島】クライストチャーチ空港

オークランド空港にとって唯一の競合と言えるのは、公営のクライストチャーチ空港です。

1950年にNZ初の国際空港となったのは、

クライストチャーチ空港

その後、オークランド南部に建設されたオークランド空港が規模を拡大していき、利用者は大幅に増えることになります。

ニュージーランドは島国ですので、海外からの来訪者の大部分は『空港』を利用します。

そして現在、国際空港として圧倒的に利用者が多いのは、オークランド空港です。

<海外からの到着者数(2019年)>

空港名到着者数
オークランド空港約273万人
クライストチャーチ空港約55万人

クライストチャーチ空港が結ばれている世界の目的地は11。

それに対し、オークランド空港が直につながっている世界の都市は、

『49』

国際空港としてはオークランド空港が『一強』であるのは言うまでもありません。

また、国内線の利用者を合わせても、クライストチャーチ空港は比較対象にはならないレベルです。

<乗降客数と年間収益(2019年)>

空港名乗降客数年間収益
オークランド空港2110万人523億ドル
クライストチャーチ空港693万人187億ドル

オークランド空港は最大都市にある重要輸送拠点で、替えが効かないインフラです。

また、NZ上場銘柄の中で数少ない『絶対的な優位性』を持っている企業と言えます。

右肩上がりに増えていた空港の利用者数

昨年までオークランド空港の利用者は右肩上がりを続けており、リーマンショックの時でも大きな落ち込みはありませんでした。

下のグラフは海外からの来訪者の内、オークランド空港を利用した人の推移です。

(出所 figure.nz)

来訪者の国籍で最も多いのは全体の約4割を占めるオーストラリア。

ただここ数年顕著なのは、経済成長しているアジア諸国からの来訪者の伸びです。

<2018年 海外渡航者の国籍別増加率>

非常に多くの人口を抱える国または地域からの旅行需要によって空港利用客が増加。

今後の伸びを見越して、オークランド空港は長期計画のもと、様々なインフラ整備(新設・改修)を行うことを決めていました。

滑走路、貨物施設、国際到着口、駐車場、飲食店、ホテル etc

これらが整備されればオークランド空港の収益はさらに増すことになります。

ところが、順風満帆だったはずの将来性に予期せぬ逆風が吹き荒れました。

新型コロナウィルスの世界的な感染拡大です。

旅行需要が戻らない2020年のダメージは壊滅的

(出所 ザ・ガーディアン)

国連の専門機関である世界観光機関(UNWTO)は、2020年の国際旅行需要は『60%〜80%減少する』と予測しています。

20%ほどある減少幅については世界各国による

・国境の段階的な解放

・旅行制限の緩和

これらが行われる時期によって左右され、9月以降はもうほとんど変わりません。

時期需要減少幅
7月上旬ー58%
9月上旬−70%
12月初旬−78%

今現在も壊滅的なダメージを受けており、この状況を打開するための『切り札』となるのはやはり、

ワクチン

その完成は1年以上先という見方が大半です。

2020年中に旅行産業がV字回復するのは、ほぼ不可能と考えるのが妥当です。

ワクチン開発の進行状況は?

(出所 ビルゲイツによるTEDでの講演

今から5年前。

核戦争よりも感染病の蔓延が世界に脅威をもたらすと警鐘を鳴らしていた人物がいました。

ビル・ゲイツ氏

新型コロナ対策に多額の資金を提供するとともに、自身の考えを様々なメディアを通じて述べています。

ゲイツ氏が考えるコロナ前の世界を取り戻すために必要なことは、

・ほぼ完全な治療薬を手に入れる

・人類すべてがワクチン接種を受ける

このいずれかで、より期待されるのは病気を治す治療薬よりも予防するためのワクチンです。

これまで作られてきた様々なワクチンは開発に5年ほどかかっており、従来型の開発手法では時間がかかりすぎます。

より短い時間で開発・商品化できるワクチンが求められる中、有望視されているのが、

RNAワクチン

現時点で、米国モデルナ社のRNAワクチンは臨床検査まで進んでいます。

有効性と安全性が確認でき、その後の『申請・審査・承認』過程を短縮できた場合、

最短9ヶ月でワクチンが完成する可能性がある

と、ゲイツ氏は述べています。

少し希望が持てそうな気がしてきましたが、同時に『最長の場合、2年かかる』という考えも示していました。

また、ワクチンが完成しても世界に行き渡るためには、

数ヶ月から数年を要するだろう

と述べていることから新型コロナによる旅行業界への影響は、

2021年以降もしばらく続く

こうした想定が必要になると考えています。

NZが国境を開き始めるのはいつ頃?

(出所 ニュージーランドヘラルド)

新型コロナの感染拡大を食い止めたニュージーランドと隣国オーストラリア。

現在、両国の間だけで国境を開く話し合いが進められています。

今後の状況にもよりますが、報道によれば7月のスクールホリデーに間に合うように時期を調整しているようです。

はじめは密閉された飛行機に乗ることを怖がる人も少なくないでしょうし、厳しい検疫制限が設けられるのは間違いありません。

(出所 ニュースサイトstuff)

しかし、両国の間で新規感染者が大幅に増えるようなことさえなければ、安心感とともに利用者数は増すことでしょう。

他国への国境開放はまだ先の話になりそうですが、オーストラリアとの国境が開くことは、オークランド空港にとって復活への第一歩になるはずです。

まとめ

新型コロナウィルスの感染拡大は、旅行業界に壊滅的なダメージを与えました。

NZの優良企業であるオークランド空港の株価も大幅下落。

それが『株を買うチャンス』となるのでしょうか。

NZ国内のコロナ感染は終息を迎えようとしています。

一方、世界中の都市とつながるオークランド空港の業績が回復するための条件は、

”世界的な”ウィルスの終息

世界には感染拡大が続いている国がまだあります。

また、北海道の事例から、一旦終息したかに思えても油断をすれば、第2波にさらされるリスクがあることもわかりました。

(出所 朝日新聞)

コロナ終息のためにはワクチンの完成と供給を待たねばならず、それまでにかかる時間は未だ不透明なままです。

オークランド空港はこの先もNZにとって非常に重要な企業であることに変わりはありません。

ただ、これからNZ株へ投資される方が、先行き不透明な企業をあえて選ぶ必要はないように思います。

僕自身はオークランド空港の株主ですので復活に期待を寄せています。

しかし、それは近い将来ではなく、

数年後

NZ上場企業の多くは知名度があまり高くないため、つい馴染みのある企業を買ってしまいがちです(僕もかつてはそうでした)。

そして、オークランド国際空港はNZの優良企業として投資家に人気がある銘柄です。

ただ、投資するかどうかを決める前にちょと立ち止まって、

・投資先には他にも様々な選択肢があること

・投資期間(短期or長期)を考えてみること

これらを一度検討してみても遅くはない気がします。

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