【不動産投資】日本と海外で収益に真逆のことが起きている理由

不動産情報大手アットホームのデータによると、首都圏の賃貸物件の成約数が落ちているようです。

(出所 アットホーム(株) 市場動向

日本の総人口の約1/4をかかえ、賃貸需要が強い首都圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)。

今年3月、1都3県の賃貸成約数は前年比で13.5%もダウンしました。

(出所 アットホーム(株) 市場動向

通常、5月のゴールデンウィーク明けになると引越しシーズンが終わり、賃貸物件の成約率が下がります。

ここで注目すべきなのは、賃貸需要ピーク時期に成約率が前年比を下回っていることです。

ピーク時に成約できない賃貸物件は、家賃を下げるなど空室対策をしなくては部屋が埋まりません。

また、こうした傾向が毎年続けば、家賃は維持するどころか下落傾向になってしまいます。

今後、日本の不動産賃貸にはどんな現実が待っているのでしょうか。

10年前より下がっている首都圏の家賃

下のグラフは東京と南関東(1都3県)の賃貸アパートの賃料推移で、過去8年間の値動きが確認できます。

なお、赤色の基準線は10年前(2009年1月)の賃料です。

(出所 アットホーム(株) 市場動向

基準線を大幅に上回っている時期があるのは東京23区(ピンクの点)だけです。

神奈川県(黄色の点)も基準線を超えている時期がありますが、全体を通してみるとほぼ基準線以下になっています。

そして2019年3月時点では全てのエリアが基準線未満になってしまいました。

賃貸アパートよりも厳しい状況なのが賃貸マンションで、過去8年間、全てのエリアが一度も基準線を超えていません。

(出所 アットホーム(株) 市場動向

現在の首都圏の家賃は『10年前からほとんど上がっていない』といっても過言ではなく、むしろ下落しているのです。

増え続ける『供給』と減少していく『需要』

物やサービスの価格を決めるのは需要と供給の関係です。

家賃が上がらない理由をシンプルに考えれば『賃貸物件の供給が需要を上回っているから』と言えます。

実際、低金利を背景とした融資が不動産に流れ込んでいるのは事実で、不動産向け貸出額は過去最高を更新しました。

(出所 ニッセイアセットマネジメント マーケットリポート

すでに供給過多となっているのにもかかわらず、不動産の供給量が止まらないのです。

一方、賃貸需要は日本の人口減少が暗い影を落としています。

国の調べによると2025年以降、賃貸物件の主な借り手となる生産労働人口は全都道府県で減っていくことが報告されており、将来的に需要の伸びは期待できません。

(出所 国立社会保障・人口問題研究所 日本の地域別将来推計人口

少ない賃貸入居者を多くの大家が奪い合えば競争に拍車がかかるのは当然の流れです。

家賃を下げて空室を埋めようとすれば物件の収益性は低くなり、不動産価値も下がることになるでしょう。

ミクロの視点では高い収益性を維持できる物件もあるでしょうが、全体的には家賃と不動産価値がダブルで下がり続ける、というのが日本の不動産投資の現実です。

投資する国が変わると状況は180度変わる

赤道を挟んで日本の反対側に位置するニュージーランド。

この国の不動産収益は日本と反対の状況が続いています。

まずは、家賃収入から見てみましょう。

全国的に需要が供給を上回っているため、家賃は値上がりしています。

2019年3月のデータでは、全国すべての地区の賃料が前年を上回りました。

(出所 Trade Me Property

全国中間賃料は前年同月比で5.3%アップ。

週あたりの中間賃料は495ドル(約3万7千円)に達し、1ヶ月あたりで計算すると2121ドル(約15万9千円)です。

月16万円が家賃の中間値というのは信じがたいかもしれませんが事実なのです。

上記データでは地方の家賃の上昇率が高く、これも日本ではあまり考えられないことです。

<地方都市の家賃伸び率>
ギズボーン +17.7%、
ホークスベイ +10%
マナワツ/ワンガヌイ +9.4%
サウスランド +9.1%

10年前と現在の家賃を比較してみる

”家賃が上がってるのは過去1年だけなんでしょ?”

そう思うかもしれませんので、10年前と現在の家賃を比較してみます。

以下は賃貸物件の大きさごとの賃料推移グラフです。

1ベッドルームアパートメント

アパートメントというのは日本でいうマンションタイプの物件です。

オークランドなど大都市の中心部に多く、入居者は主に独身またはカップルの学生・会社員です。

(出所 Landlords)

10年前、週290ドルだった家賃は現在400ドル近くまで上昇しています。

2ベッドルームフラット

フラットとはユニットなどマンションタイプとは異なる集合住宅です。

都市部だけではなく地方にも多く、カップル、仲間同士、ファミリー、高齢者など様々な人が入居しています。

(出所 Landlords)

家賃は10年前の1.5倍になっており、1ベッドアパートメントより高い伸び率です。

ユニットは戸建と比べると不動産価格が低い傾向があります。

また、アパートメントには必ずある管理費(ボディーコーポレート)がない物件もあるので、賃貸利回りは悪くありません。

投資物件としてコスパが良いので、僕が最初に購入したのはこのタイプでした。

3ベッドルームハウス

ニュージーランドで最も人気がある物件タイプは戸建です。

入居者は家族が一般的ですが、何人かで共同で(シェアハウスとして)住むこともよくあります。

(出所 Landlords)

最も数が多いのは3ベッドルームで賃料は過去10年で1.56倍になり、全国中間値ではほぼ週500ドル(約3万7千円)に達しました。

以上の通り、物件のタイプ、大きさに関わらず、ニュージーランドでは家賃が上がり続けています。

不動産収益性が増すことにともない上昇するのが不動産価格です。

過去のニュージーランドの中間住宅価格推移を見てみましょう。

(出所 Global Property Guide

住宅価格の中間値は2000年から2018年までで約3倍に上昇しています。

<NZ中間住宅価格>
2000年 17万ドル
2018年 53万ドル

家賃収入(インカムゲイン)と不動産価値(キャピタルゲイン)が時間とともに上昇するため、保有するだけで確実にリターンを得られるのがニュージランド不動産の特徴です。

不動産投資についていえば日本とはまったく逆のことが起きていて、双方の結果には雲泥の違いが出ます。

まとめ

”給料が増えない” ”年金が足りない”と感じる人々が多いからでしょうが、日本では不動産投資を考えるサラリーマンや高齢者が少なくありません。

そうした人の中には、家賃保証などをうたう悪徳業者に騙されて大事な資産を失ってしまう人もいます。

冷静に考えれば、日本の賃貸市場は過当競争状態なのは明らかで、収益性と将来性には疑問を感じるはずなのです。

一方、世界に目を向ければ、ニュージーランドのような不動産投資に適している国もあります。

ニュージーランドでは外国人の中古住宅購入は法律で禁止されましたが、新築物件など例外もあるので外国人投資家が完全に締め出された訳ではありません。

現地定住者であればそうした不動産購入の法的な縛りは少なく選択の幅も広がります。

幸い現在(2019年5月時点)は、ニュージーランドの不動産市場は買い手市場で、交渉次第では公的評価額より安く購入することも可能です。

また、ローンも低金利で借りることができるなど、住宅購入者には条件がよくなっているので良いタイミングと言えるでしょう。

不動産投資をするつもりはなく自分が住むために家を買って、気がついたら資産家になっていた、という人はこの国では珍しくありません。

ニュージーランドでは儲けるつもりがなくても儲かってしまう。

日本では儲けようと頑張っても損してしまう。

ロケーション選びは不動産投資で最も大切なことと言われますが、それは国にも当てはまります。

不動産投資で失敗しないためには、家賃や物件価値が上昇する国を選ぶべきで、逆をやれば大事な資産を失うことにもなるのです。

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