個人積立の2倍を政府が支給!?大胆すぎるNZ個人年金改革案とは

高齢者と子供の数の差はどのくらい?

2019年に初めて出生者数が90万人割れ(86万人)となった日本。

15歳未満の子供の数は1982年から38年連続で減少し、総人口に占める割合は、

12.1%(1,533万人)

子供の数が減少するのと反比例して増えているのが高齢者人口。

65歳以上の割合は過去最高となる、

28.4%(3,588万人)

※総務省統計局データ

現在、高齢者人口は子供の2倍を超え、その差は2000万人以上にも開いています。

ニュージーランドでも少子高齢化が進んでいる!?

海外からの移民が多く、人口が増え続けているニュージーランド。

この国の人口構造はこれからどう変化していくのでしょうか。

日本とは状況が異なるのかと思いきや、この国でも少子高齢化は着実に進んでいるようです。

退職者の所得政策を提言するNZ政府の外郭団体『CFFC』。

その調べによると、65歳以上人口が子供15歳未満の人口を初めて上回るのが、

『2028年』

出所:CFFC

8年後には子供と高齢者の人口が逆転し、以降はその差が拡大していくと予測されています。

ニュージーランドにとっても日本が直面している少子高齢化は決して対岸の火事ではありません。

今から向かい合わなければならない『大きな課題』となっているのです。

日本の年金制度は時代錯誤?

人口構造が高齢化することで問題となることの一つに『年金』があります。

昨年、日本では年金問題が注目されましたが、年金制度(賦課方式)が時代に沿わなくなっていることはずいぶんと前からわかっていました。

【賦課方式】現役世代が老齢期世代を扶養する仕組み

『国民年金制度』が開始されたのは約60年前、『厚生年金基金』が創設されたのも50年以上前のことです。

当時の日本は、

【1960年代】

高齢者よりも若い働き手がたくさんいる

経済成長していてインフレが続いている

という状況だったので、年金制度は時代にマッチしていましたが、現在は真逆の状態です。

【現在】

現役世代が減り高齢者が増えている

経済成長が止まりデフレが続いている

根本的な仕組みを変える必要があるのでしょうが、時すでに遅しといった状況に陥ってます。

20年後に3倍の年金財源が必要となるNZ

少子高齢化していくニュージーランドも将来的に日本と同じ問題にぶつかると予測されています。

年金の財源となるのは『税金』で現在の年金支出額は、

1日あたり3900万ドル(約28億円)

これから高齢者人口が増加することによって年金支給額も増え、20年後には現在の3倍の財源が必要となります。

1日あたり1億2000万ドル(約86億円)

年金はいくら支払われているのか

日本の場合は、まず雇用形態よって加入する年金が異なります。

また、加入期間や積立額、受取開始年齢などにより給付額が変化するので個人差があります。

【自営業】国民年金(平均5万5千円/月)

【会社員】厚生年金(平均14万8千円/月)

※2016年厚生労働省年金局データ

一方、ニュージーランドの年金はシンプルで、65歳に達すると一定額がもらえる仕組みです。

種別支給額/週支給額/月支給額/年年(円換算)
シングル$411$1,781$21,380約154万円
カップル$633$2,741$32,892約237万円

※日本円換算レートNZ$=72円計算

この年金だけで生活できるかといえば、かなり大変というか、ローンを完済した持ち家がないと無理です。

持ち家がない・ローンが終わらないと厳しい老後

ニュージーランドの持ち家率は以下のように、この30年余りで20%ほど下がっています。

<持ち家比率>

【1980年代】78%

【 現  在 】55%(ー23%

さらに、持ち家がある人でも65歳以上で住宅ローンを完済している割合は、この10年で大幅に低下。

<65歳以上のローン完済率>

【2007年】78%

【2017年】49%(ー29%

ニュージーランドは家賃が高く、また住宅ローンも日本のように

『全期間固定0.82%(参考:住信SBIネット銀行)』

なんて羨ましいほどの低金利ローンはありません。

高齢になって家賃やローンの支払いがあると年金だけで生活するのは無理で、貯金を切り崩していくことになります。

ただ、貯金があまりない人々にとっては厳しい事態となるため、政府としても早く対策に乗り出さなくてはなりません。

キウイセーバーを利用しない自営業者の人々

年金支出が増えることへの対策として、NZの年金支給年齢を65歳から67歳へ引き上げることが検討されてきました。

しかし、3年おきに退職所得政策をレビューを出す『CFFC』は、支給年齢の引き上げには否定的です。

CFFCは2019年のレビューで別の改革案を提案しており、その中の一つが老後の貯蓄づくりに有効となる、

『キウイセーバー』の改革

キウイセーバーはNZの個人向け年金制度で、初めてこの言葉を聞く方は以下の記事を参考にしてください。

キウイセーバーっていったい何? キウイセーバーとは、ニュージーランド国民(永住権保持者含む)のために、2007年から開始された個人向け...

個人がキウイセーバーで資産形成ができれば、老後不安の解消に良い効果をもたらします。

いくつかあるキウイセーバー改革案の中で個人的に最も目を引いたのが、

加入率が低い『自営業者』への対策

会社員の場合、キウイセーバーを財形貯蓄のように『給与天引き』で積み立てできます。

また、会社からも給与の3%が追加で積み立ててもらえるなどメリットを感じやすいので、

加入率は『73%』と高く推移

一方、自営業者のキウイセーバー加入率は、

わずか『40%』

老後に向けた貯蓄づくりにはキウイセーバーの加入は欠かせないと言っていいほど大切な制度。

それを利用していない割合が半分以上もいるというのは、やはり問題です。

年間千ドル積み立てると毎年2千ドルもらえる!?

自営業者が自発的にキウイセーバーへ積立したくなる

効果的な対策として提案されたのは『積立額1ドルに対し、政府が2ドルを支給する』というもの。

支給額の上限は年間2000ドル

つまり、年間1000ドル積み立てると、毎年2000ドルを政府からいただるということです。

政府の財政負担を増やしすぎないため、最大利用期間は10年で設計しているとのこと。

毎年1000ドルが3000ドルになり、それを10年も継続できるなら、自営業者も積極的にキウイセーバーに積立てをするでしょう。

僕自身も自営業者なので、この改革案が実現されたらありがたいかぎりです。

まとめ

少子高齢化は日本だけの問題ではなく、ニュージーランドでも早かれ遅かれ直面することが予測されています。

少ない現役世代でたくさんの高齢世代を支えるのは難しい課題で、政府の財政支出は大幅に増えることが必至です。

日本では年金支給年齢を段階的に引き上げていく『先延ばし策』が暗黙の了解のようになっていますが、ニュージーランドは別の方法を模索しています。

日本とは違い住居費が高いNZでは、老後を年金だけには頼るわけにはいきません。

貯蓄がないと生活が一気に立ち行かなくなる可能性があるため、現役の時からいち早く準備を始めておく必要があります。

NZ政府はキウイセーバーによって個人の資産形成をサポートしていますが、任意のため自営業者の加入率が低いまま。

その有効な対策として、

自営業者には積立額の2倍を支給する

という思い切った改革案が提案されており、実現すれば加入者は一気に増えることが見込まれます。

財政リスクを伴ってでも国民一人ひとりの将来を守ろうと努力するニュージーランド。

こうした改革が実を結べば、老後を不安なく迎えることができるかもしれませんね。

年金不安の正体 (ちくま新書) 

いわゆる「老後資金2000万円問題」や「マクロ経済スライド」とは何か。

消費税と年金の関係は。賦課方式と積立方式はどこがどう違うのか。

一部で期待されるベーシック・インカムの現実度は……。

国民の不平不満につけこみ、世代間の違いを不公平だと騒ぎ立て、少子高齢化で年金制度が崩壊するなどと危機感を煽る。

それらのほとんどは誤解や無理解から起こっているのだが、なかには明らかなフェイクも含まれている。

不安を利益に変える政治家や評論家、メディアのウソを暴き、問題の本質を明らかにしよう。

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