NZでベーシックインカム?国内が終息しても失業者が増える理由

感染拡大が峠を越しても国境閉鎖は継続

ニュージーランドが行なっている『ロックダウン』は、延長されなければ4月下旬に解除されます。

しかし、ロックダウンが終わっても、それが新型コロナ問題の収束を意味するものではありません。

ニュージーランドのアーダーン首相は、

国境管理をワクチンの用意ができるまで継続する

と述べています。

これが何を意味するのか。

国内の感染拡大がおさまっても、すぐに国境を開くことはない

政府は国内で発生する感染連鎖以上に、国外からの渡航者によって感染が広がるリスクを危惧しているようです。

観光業が元気を取り戻すためにかかる時間

専門家が考える政府による国境管理の継続期間は、

1年〜1年半にわたる(可能性)

この間、海外からニュージーランドへの渡航は厳しく制限されます。

これにより最も大きな影響を受ける産業の1つが、

国際観光産業

年間180億ドルを生み出すビジネスが、以前の状態まで戻るために必要な時間は、

最大で『5年』

と見積もられています。

危機的状況に直面している留学産業

国境の封鎖によって観光業のほか、留学産業も直接的な打撃を受けました。

ニュージーランドの教育機関は毎年多くの留学生を受け入れています。

・小中学校、高校
・専門学校、大学
・語学学校 etc

留学生の総数は、年間118,300名(2017年)。

(出所 ニュージーランド教育省)

留学は滞在期間が比較的長いため、一人当たりの経済インパクトが旅行よりも大きくなります。

また、留学生が支払う授業料は各教育機関にとって貴重な収入源です。

留学生が来ない期間が長引けば、留学生頼みの学校(例:語学学校等)は経営に行き詰まってしまう可能性があります。

自国だけが解決すれば良いわけではない

観光産業と留学産業には現地在住の日本人を含め、多くの人々が従事しています。

<各産業の従事者数>

観光産業:約40万人
留学産業:約4.5万人

仮に、NZ国内のコロナ感染が早期に終息したとします。

しかし、海外の状況が改善されなければ、

『NZ政府が国境管理を緩める可能性は低い』

新型コロナウィルスの危機は、『自国さえおさまれば良い』という類のものではありません。

世界的に終わらせなければ、以前の状態に戻すことができない難しい問題です。

長期戦となった時、雇用は守れるのか

ロックダウンが解除され自由に行動できるようになっても、仕事がなく失業する人が増えると言われています。

感染者が世界最多となったアメリカの失業者は、

今の時点で『百万人単位』へ急増

ニュージーランドでも観光や留学など、影響を受けやすい産業で失業者が多くなることが予想されます。

今、雇用が維持できるのは政府の助成制度(すでに約37億ドル支払完了)のおかげです。

コロナ収束とともに経済活動を再開できる体制は整っていますが、軌道に乗るには時間がかかるものと思われます。

終息させるための目安は2つ考えられ、1つは感染増加ペースが落ちること。

そして、もう1つはアーダーン首相が述べている

ワクチンが用意できること

これがいつになるのかが非常に不透明です。

さらに感染症の専門家は、

世界的なパンデミックは1年〜2年続く可能性がある

と指摘。

長期戦になれば影響を受けている企業や個人が、一時的な助成金だけでこの問題を乗り切るのは難しくなります。

新たな政策の検討に入った政府

NZ政府は助成金による雇用支援以外の政策をすでに検討し始めているようです。

その1つが、

ベーシックインカム

具体的なことはまだ何もわかっておりません。

ただ、多くの人々が長期間失業する事態になれば議論が進むと考えられます。

また公共事業によって仕事を生み出し、失業者の受け皿にすることも検討されているようです。

まとめ

新型コロナウィルスが悩ましいのは

『国内だけ解決すれば良い』

という問題ではないことです。

世界各国で感染拡大が続いている間は、国境封鎖を解除するわけにはいきません。

その間、観光や留学などの産業は大きなダメージを負い、問題が長びくほど死活問題へと発展します。

ニュージーランド政府は国内の雇用を維持するため、

『助成制度』を実施

しかし、根本的な解決にはワクチンができるのを待つしかありません。

ニュージーランド政府は先を見越して、

・ベーシックインカムによる収入保証
・公共事業による雇用創出 etc

これらの政策も検討し始めたようです。

しかし、財源の問題もあるなど、すんなりと進むようなことではありません。

一方、日本はどうなっているでしょうか。

感染者が急増しているにも関わらず、その対応はとても緩い印象を受けます。

世界から見ると国民の危機感もまだ薄く、このままだと感染爆発が避けられないかもしれません。

もしそうなってしまえば、ニュージーランドは、

日本からの渡航者に対して警戒を強めることが確実

『日本人は長期間ニュージーランドへ入国できない』という事態になったら、関連産業に携わる多くの人々が職を失います。

この問題は、自分・身内・国内だけの問題ではない

そのことに日本の人々が気づいてくれることを願うばかりです。

(参考情報)New Zealand Herald

AI時代の新・ベーシックインカム論 (光文社新書)

ベーシックインカム(Basic Income, BI)とは「政府が、すべての人に必要最低限の生活を保障する収入を無条件に支給する」制度を指す。

近年、特にヨーロッパ諸国を中心にBI導入をめぐる動きはかつてないほど盛んになっている。

日本での可能性はどうか。財源はどうするのか。

現行の貨幣制度の欠陥とは何か。最大の障壁となるものは何か。

そして未来の社会とは――。

AIと経済学の関係を研究するパイオニアが論考する刺激的な一冊。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする