ツアー前必読!ワイトモ洞窟発見の歴史と美しいツチボタルの正体

ニュージーランド観光といえば、南島を周りながら大自然の風景を楽しむのが定番です。

一方、北島にも観光スポットはたくさんあり、中でもワイトモ洞窟はぜひ訪れていただきたい場所。

ワイトモ洞窟のツチボタルツアーでは1グループに一人、現地ガイドがつきます。

・洞窟の由来や歴史

・鍾乳洞ができるまでの過程

・ツチボタルの生態 etc

ツアー中、ガイドは上記のようなことについてしてくれるのですがその内容は、

すべて『英語』

ですので、十分に楽しむためには『予備知識』があった方が良いかもしれません。

今回の記事はツアー参加前に読んでいただくと役に立つかと思います。

『ワイトモ』の名前の由来

ワイトモというのは、ニュージーランドの先住民『マオリ族』の言葉です。

「水」と解釈される「ワイ」

「入口」または「穴」を意味する「トモ」

『水』と『穴』というつの単語をつなげると、

「地面の穴に流れ込む小川」

と言い換えることができます。

ワイトモ洞窟をタオンガ(宝)として崇めるマオリ族。

彼らの伝説では、

地上の母『パパトゥアヌク』にたいする空の父『ランギヌイ』の想いが涙(雨)となって落ち、洞窟と小川を形作った

と伝えられています。

ワイトモ洞窟内の温度は?

深いところで地下250mにもなるワイトモ洞窟。

夏に訪れると少し涼しく感じ、冬だと逆に暖かいように感じます。

その理由は、洞窟内部の温度が、

1214℃の範囲で、1年中一定だから

ちなみに地下に流れる水の温度も大きく変化することはありません。

ワイトモ洞窟が作られた歴史

今からおよそ3000万年前のこと。

当時のワイトモは海底にあり、貝殻やサンゴ、魚の骨などがたまっていました。

長い時を経て、そのそれらは地層のように積み重なり、圧縮されていきます。

そして、

『石灰岩(ライムストーン)』を形成

その後、地殻変動によって隆起が起こり、海底だった場所が陸上に姿を現しました。

石灰岩でできた地表は日光にさらされて、裂け目ができます。

そこに雨水が流れ込んでできるのが、

地下へ向かって伸びていく『雨水の通り道』

画像:京都市青少年科学センター

空気に触れて酸性となった雨水は、地面に染み込んでいく時、土壌の中からも二酸化炭素を取り込んで『酸性度』を高めていきます。

一方、石灰岩でできた土地は『アルカリ性』。

酸性』の雨水 VS 『アルカリ性』の石灰岩

雨水(酸性)が厚いところで200mもある石灰岩(アルカリ性)を溶かしながら地下へとしみ込んでいきます。

画像:京都市青少年科学センター

地下の水脈は周りの石灰岩を溶かし、徐々に大きくなった空洞は近くの空洞と連結。

そうしてできあがるのが、

『鍾乳洞』

鍾乳石・石筍ができるまで

地下水脈によって洞窟ができた後、地殻変動によって土地がさらに隆起します。すると、

地下水は『さらに深い層』へ移動

画像:京都市青少年科学センター

今まで地下水が流れていたところには『大きな空洞』となりました。

ワイトモ地域にはこうした洞窟が300ほどあると言われています。

地表に降った雨水は、地中の圧力を受けながらしみ込んでいく途中、2つの物質を吸収していきます。

【雨水が吸収する物質】

・石灰岩に含まれている『炭酸カルシウム』

・地中に含まれている『二酸化炭素』

空洞となった洞窟内に染み出した時、雨水は地中の圧力から解放されて抜け落ちるのが

『二酸化炭素』

炭酸ジュースのフタを開けた時に、泡が出るのと同じ理屈なんだそうです。

二酸化炭素が抜けた雨水には何が残っているでしょうか。

『炭酸カルシウム』

炭酸カルシウム?と聞いてもあまりピンときませんね。

黒板に書くための『チョーク』の主成分

というとわかりやすいかもしれません。

この炭酸カルシウムを多く含んだ水が、天井から滴り落ちることによって形成されるのが、

・天井から吊り下がる巨大な『鍾乳石』

・地面から突き出すように伸びる『石筍』

上の写真のような立派な鍾乳石や石筍ができるまでには途方もない年月がかかります。

たった1cm伸びるためにかかる年数は『100年』

1mの鍾乳石は『1万年』もの時間がかかっている計算になり、1m以上の鍾乳石は非常に稀なものなのです。

ワイトモ洞窟を初めて探検したタネとフレッド

ワイトモ洞窟が観光客に解放されたのは、

今からおよそ130年前(1888年)

観光地として一般公開される前には、もちろんツチボタルを発見した人たちがいたわけです。

初めてワイトモ洞窟を探検をしたのは、

マオリの部族長『タネ・ティノラウ』

イギリス人測量士『フレッド・メイス』

真っ暗な洞窟内で頼りになるのはロウソクのあかりだけ。

原始的な装備で地下の暗闇を探検するのは、さぞ勇気のいることだったでしょう。

地下には川が流れており、そこで用いたのは、

亜麻(あま)という植物で編んで作ったイカダ

暗い洞窟内をイカダで移動していた時、彼らは川面に反射する青い光りを見つけます。

目が暗闇に順応し、天井を見上げると星空のような光景です。そこいたのは、

数え切れないほどの無数のツチボタル

その後、タネたちは洞窟は入っては戻りを繰り返しなが探検を続け、アクセスしやすいルートを発見。

そして政府の調査員によってマップが作られ、観光地として解放されることになったのです。

タネはその後ワイトモ洞窟のツアーガイドとして活躍し、その間に2度の結婚を経験。

2番目の妻、フティもガイドを務めたそうです。

画像:Te Ara Encyclopedia of NZ

ワイトモ洞窟は1904年に政府が取得。

それから86年後の1990年に発見者であるタネの子孫に返還されました。

タネには多くの子供がおりその数は、

『計16人』

現在、ワイトモ洞窟ツアーの従業員はタネの子孫たちが多くを占め、彼らによって管理されています。

観光客が増えたことで起こった危機

ニュージーランド随一の観光地となったワイトモ洞窟。

ワイトモ地区の年間訪問者数は50万人以上

1日に訪れる人の数は最大3000名

『南半球で訪問者が最も多い洞窟』となっています。

観光客の増加とともにある問題が浮上しました。それが、

洞窟内の二酸化炭素濃度の上昇

人間が多く出入りすれば、当然ながら吐く息から二酸化炭素の量が増えていきます。

洞窟内の水の酸性度が高くなると危惧されるのが、

長年かけて作られた鍾乳石へのダメージ

そのため過去には、観光客が多い夏季に鍾乳洞を閉鎖する必要に迫られたこともありました。

貴重な観光資源を守るためには、こうした制限をするのもやむを得ないのかもしれませんね。

ワイトモ洞窟ツアー

ワイトモ洞窟のツチボタルを見学するには45分のガイド付きツアーに参加します。

洞窟の入口から階段を下り地下へと下っていきます。

洞窟内は3つのレベルに分かれており、最初の場所に名付けられた呼び名は、

『Catacombs(地下墓地)』

ここで見られるのは、天井から吊り下がる大きな鍾乳石や地面から竹の子のように伸びる石筍。

この鍾乳石と石筍がつながったものは、『支柱』や『円柱』などと呼ばれています。

なお、鍾乳石や石筍は非常に脆いため手を触れるのは厳禁です。

次のレベルにあるのが、

Banquet Chamber(宴会の部屋)

初期の観光客がこの場所で食事をしていたことからその名がつけられました。

食事のあとは喫煙もしていたようで、天井にはタバコの煙でついた跡が残っています。

次のレベルが『大聖堂』と呼ばれる場所。

天井の高さは18mもあり、音響効果が抜群

この場所では合唱やオペラなどが催され、かつてはビートルズなど有名歌手も演奏をしたことがあるとのこと。

洞窟内で最も大きく形成された鍾乳石は荘厳な雰囲気を醸し出しています。

つけられた呼び名は、

『パイプオルガン』

この場所が『大聖堂』と呼ばれる理由がわかる気がしました。

星空のように見えるほど数が多いツチボタル

ツアーもいよいよ佳境に入ります。

23人乗りの大きめのボートに乗り込んで出発。

ガイドさんは天井に張られたガイドロープを手繰り寄せながらゆっくりと進みます。

ツチボタルは音や光に敏感なので、写真撮影や私語は禁止

暗闇の中、上を見上げるとツチボタルが青白く光っています。

その数は徐々に増えていき、天の川のような光景へ。

地下にいるはずなのに、星空を見ているような錯覚に陥ります。

ツチボタルはNZのワイトモ以外の場所やオーストラリアなどにも生息していますが、ワイトモ洞窟のツチボタルは群を抜いて多いそうです。

ジブリ映画『天空の城ラピュタ』に出てくる飛行石はツチボタルをモデルにしているという噂があります。

真偽のほどは確かではありませんが、モデルにしたかもしれないと思うほど、印象に残る美しさです。

蛍ではなかったツチボタル

ツチボタル、という名前からてっきりホタルの一種だと思っていましたが、実は違っていました。

『ヒカリキノコバエ』

というハエの仲間。

画像:Wikipedia

成虫になると蚊のような見た目になりますが、光を出しているのはミミズの形をした幼虫です。

英語では、GLOW(蛍光)WORM(ミミズ)

『蛍光するミミズ』と名付けられているのも納得ですね。

日本の蛍(ゲンジボタル)が光るのは、

・メスへのプロポーズ

・敵を威嚇する

・刺激を受けたとき

などの時に光るそうですが、ツチボタルが光る目的は何なのでしょうか。

ツチボタルの幼虫は、口から粘着性の糸(30cmくらい)を20本前後垂らします。

光を発すると洞窟内にいる昆虫がおびき寄せられて、糸にくっつきます。

つまり、ツチボタルが光を出すのは、

餌を捕獲するため

幼虫の期間は9ヶ月ほどで、マッチ棒ほどの大きさまで成長します。

その後、2週間くらいのサナギ期間をへて成虫になるそうです。

ツチボタルの成虫は子作りだけが目的で、

命の長さは2〜3日と短命

ちなみに成虫には口もないとのことです。

ツチボタルが他であまり見られないのは

ツチボタルはなぜ珍しい生き物なのでしょうか。

それにはツチボタルが特別な条件が整った環境でなければ生きられないという事情があります。

【ツチボタルが生息できる環境】

・乾燥しない適度な湿度があること

・安全であること

・風がないこと(粘着糸を垂らしても絡まない)

・光が目立つ暗さがあること

・餌になる昆虫がいること

自然環境の中で上の条件を全て満たす場所は、なかなかないのかもしれませんね。

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